改訂版

上がるか下がるか
予想しなくてもいいってホント?
中学生でも分かる鞘さや取引

投資は「値段が上がるか下がるかを当てるもの」と思われがちです。でも、当てなくてもよい取引があります。それが鞘取引です。

答え:ホントです。見るのは「上がるか下がるか」ではなく、「2つの値段の差」だけ。
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鞘ってなに?

鞘とは、2つの値段の「差」のことです。りんごで考えてみましょう。

八百屋A
100円
安いほうで買う
差 20円
これが「鞘」
八百屋B
120円
高いほうで売る
図1:同じりんごなのに、お店で値段がちがう

Aで買って、Bで売れば20円のもうけ。りんごの値段が明日どうなるかは、関係ありません。

この「差」をねらうのが鞘取引です。

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なぜ予想しなくていいの?

ひみつは、「買い」と「売り」を同時に持つことです。

買い値段が上がると得
下がると損
+
売り値段が下がると得
上がると損

2つは正反対の動きをします。だから両方を持つと、得と損が打ち消し合います。

買い売り合わせると
上がった得損ほぼ0
下がった損得ほぼ0

上がっても下がっても、ほぼ0。では、どこで利益が出るのでしょう。

答えは「差」です。高いほうを売り、安いほうを買っておきます。あとで2つの値段の差が縮むと、縮んだ分だけが利益として残ります。

上がった場合

+5,500円差が55円縮んだ

動かなかった場合

+5,500円差が55円縮んだ

下がった場合

+5,500円差が55円縮んだ
図2:オレンジ=売った高いほう、青=買った安いほう。線の向きはちがっても、すき間(緑)が閉じるのは同じ。だから結果も同じ(イメージ図。金額は4章の例)
当てるのは「上か下か」ではありません。
「開いた差が、元にもどるか」だけです。

「持っていないのに売る」って?

先物やCFDは、先に売って、あとで買いもどすことができます。売った値段より安く買いもどせば利益です。実物を持っていなくてもできます。

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例:日経225の2つの値段

ここからは例の話です。どちらも「日経225」という、日本の代表的な225社の株価をまとめた数字をもとにしています。

日経225先物

大阪取引所で売り買いされる。値段はみんなの売り買いで決まる。

CFD JP225

CFD会社と1対1で取引する。値段はCFD会社が決める。

大阪取引所先物の値段
参考にする
CFD会社JP225の値段を作る
表示
あなたの画面CFD JP225の値段
図3:CFDの値段は、ふつう先物を参考にして作られる

だから2つの値段は、ふつうほぼ同じです。差はいつも0〜5円くらい。これを「いつもの差」と呼ぶことにします。

ある夜の発見

ハルさんは、CFD会社の値段と先物の値段を毎日記録していました。

ある夜、サンプルCFD社のJP225だけが、先物より60円も高くなっていました。ほかの会社はいつも通りです。

先物 サンプルCFD社 差(鞘)
図4:上は2つの値段、下はその差。差だけを取り出すとズレがよく見える

ハルさんは何日か記録を続け、このズレがしばらくすると元にもどることを確かめました。そして、次の2つを同時に行いました。

高いほうを売る38,060円サンプルCFD社 JP225
安いほうを買う38,000円大阪取引所 日経225mini

あとは、差が60円から5円にもどるのを待つだけです。

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計算で確かめよう

差は60円から5円へ。55円縮みました。取引の大きさは、どちらも「指数×100」にそろえたとします。

55円 × 100 = 5,500円

相場がどう動いても、本当に同じになるでしょうか。

200円 上がった

先物(買い)+20,000
CFD(売り)−14,500
合計+5,500円

動かなかった

先物(買い)0
CFD(売り)+5,500
合計+5,500円

200円 下がった

先物(買い)−20,000
CFD(売り)+25,500
合計+5,500円

3つとも+5,500円。片方の得と損が打ち消し合い、差が縮んだ分だけが残りました。

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でも、めったに見つからない

かんたんそうに見えますね。でも、本当に使える鞘はとてもレアです。

たとえば、道に落ちている100円玉。みんなが探している道では、すぐにだれかが拾ってしまいます。値段の差も同じで、プロやコンピューターが一日中探しています。

値段に差があるように見える
よく調べても、差が残っている
手数料を引いても、利益が残る
本物のチャンス(ごくわずか)
図5:ふるいにかけると、ほとんど残らない
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見つけたら、それはチャンス

レアだからこそ、本物を見つけたら大きなチャンスです。

予想がいらない

上がるか下がるかを当てなくていい。

もどる理由がある

もとは同じ日経225。差は縮みやすい。

くり返せるかも

同じ形のズレが、また来ることがある。

ただし、チャンスは早い者勝ち。いつか消えます。あわてずに、次の順番で進めます。

  1. 本物の差か確かめる何日か記録を取る。
  2. コストを引いて計算する手数料などを引いても利益が残るか。
  3. CFD会社のルールを読むこうした取引を禁止している会社もある。
  4. 小さく試す計算どおりになるか、少しの量で確かめる。
  5. 記録を続ける差が出なくなったら、そこで終わり。
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うまくいかないとき

予想がいらなくても、損をすることはあります。

差がもっと広がる60円が100円になると、その間は損。
片方しか注文が通らないふつうの「予想する取引」になってしまう。
片方だけ強制的に決済される口座が別々なので、打ち消しがくずれる。
取引が取り消されるルール違反や、まちがった値段での取引。
★

まとめ

  1. 予想しなくていいのはホント。買いと売りを同時に持つから、上げ下げは打ち消される。
  2. 利益になるのは「差」が縮んだ分。高いほうを売り、安いほうを買う。
  3. 本物の鞘はレア。見つけたらチャンス。でも確認は忘れずに。

ことばのミニ辞典

鞘(さや)
2つの値段の差。
鞘取引
差が元にもどることをねらう取引。裁定取引ともいう。
先物
取引所で売り買いする、期限つきの取引。
CFD
売り買いの差額だけをやりとりする取引。
決済
持っている取引を終わらせること。