ハルさんは、CFD会社の値段と先物の値段を毎日記録していました。
ある夜、サンプルCFD社のJP225だけが、先物より60円も高くなっていました。ほかの会社はいつも通りです。
投資は「値段が上がるか下がるかを当てるもの」と思われがちです。でも、当てなくてもよい取引があります。それが鞘取引です。
鞘とは、2つの値段の「差」のことです。りんごで考えてみましょう。
Aで買って、Bで売れば20円のもうけ。りんごの値段が明日どうなるかは、関係ありません。
この「差」をねらうのが鞘取引です。
ひみつは、「買い」と「売り」を同時に持つことです。
2つは正反対の動きをします。だから両方を持つと、得と損が打ち消し合います。
| 買い | 売り | 合わせると | |
|---|---|---|---|
| 上がった | 得 | 損 | ほぼ0 |
| 下がった | 損 | 得 | ほぼ0 |
上がっても下がっても、ほぼ0。では、どこで利益が出るのでしょう。
答えは「差」です。高いほうを売り、安いほうを買っておきます。あとで2つの値段の差が縮むと、縮んだ分だけが利益として残ります。
先物やCFDは、先に売って、あとで買いもどすことができます。売った値段より安く買いもどせば利益です。実物を持っていなくてもできます。
ここからは例の話です。どちらも「日経225」という、日本の代表的な225社の株価をまとめた数字をもとにしています。
大阪取引所で売り買いされる。値段はみんなの売り買いで決まる。
CFD会社と1対1で取引する。値段はCFD会社が決める。
だから2つの値段は、ふつうほぼ同じです。差はいつも0〜5円くらい。これを「いつもの差」と呼ぶことにします。
ハルさんは、CFD会社の値段と先物の値段を毎日記録していました。
ある夜、サンプルCFD社のJP225だけが、先物より60円も高くなっていました。ほかの会社はいつも通りです。
ハルさんは何日か記録を続け、このズレがしばらくすると元にもどることを確かめました。そして、次の2つを同時に行いました。
あとは、差が60円から5円にもどるのを待つだけです。
差は60円から5円へ。55円縮みました。取引の大きさは、どちらも「指数×100」にそろえたとします。
55円 × 100 = 5,500円
相場がどう動いても、本当に同じになるでしょうか。
3つとも+5,500円。片方の得と損が打ち消し合い、差が縮んだ分だけが残りました。
かんたんそうに見えますね。でも、本当に使える鞘はとてもレアです。
たとえば、道に落ちている100円玉。みんなが探している道では、すぐにだれかが拾ってしまいます。値段の差も同じで、プロやコンピューターが一日中探しています。
レアだからこそ、本物を見つけたら大きなチャンスです。
上がるか下がるかを当てなくていい。
もとは同じ日経225。差は縮みやすい。
同じ形のズレが、また来ることがある。
ただし、チャンスは早い者勝ち。いつか消えます。あわてずに、次の順番で進めます。
予想がいらなくても、損をすることはあります。